エンジニア界隈では、Eメールなんて過去の技術だと思われている節がありますが、一般社会ではまだまだ広く使われています。
度々問題になるEメールの「誤送信」。今回は、情報系学生の私の元に舞い込んできた誤送信メール、重大インシデントの話をします。
1通の誤送信メールが届く
Gmailアカウントをβの頃に取った私は、非常にわかりやすいGメールのアドレスを使用しています。
打ち間違えたのか、あるいはメールアドレスを教えた方が伝え間違えたのかは分かりませんが、ある日某アニメ会社からこんなメールが届いていました(会社名と担当者名は伏せ、要約しています)。
Subject:
~劇場版
Body:
[イラストレーター]様
お世話になっております。[アニメ会社]の[担当者]と申します。
先日の~劇場版について、コンテ、キャラ表、プロップ設定、作画注意事項をお送りいたします。
ギガファイル便のURL
おそらく、アニメ映画の制作中で、作画か何かの依頼メールなのでしょう。スパムの手口としては新しいなーと思いましたが、ギガファイル便のリンクを開いてみたところ2GBほどあったので、本物かもしれないとも思えました。とはいえ、自分宛のメールではないので、ファイルはダウンロードせず、迷惑メールフォルダに放り込んでそのままにしていました。
スパムメールの整理をしていて…
2週間ぐらいして、プリンターのクラウドプリントを設定していたところ、設定メールが迷惑メール扱いされていました。
そのとき、迷惑メールに残っていた先日のアニメ会社のメールを思い出し、ヘッダ情報を覗いてみました。
すると、送信元は国内の実在する会社からで、海外は経由していないようでした。日本語も自然で、本物のように思えたため、送信元のアドレスを手打ちで指定し、所属と本名を名乗って返信してみました。
返信内容は下記の通りです。
- これが迷惑メールだとしたら、貴社を名乗って迷惑メールを送っている人がいるよ。プレスリリースで注意を促すといいよ。
- これが本物だとしたら、本当に気をつけてね。私は中身をみていないから安心してね。
- 制作頑張ってね。
折り返し返信、誤送信が判明
送ったのは20時前でしたが、30分ほどして折り返しメールが届きました。「間違って送ってしまった」とのことで、何度も謝られました。本物だったようです。
プロがGmailのようなフリーメールで仕事をするとは思わなかったので、ちょっとびっくりしましたが、映画コンテの公開前流出というシャレにならない事態を食い止められたことを嬉しく思いました。
良識のない人間の元に届いていたら、勝手に公開されたり、オークションに掛けられたりといったことも十分考えられました。経済損失は計り知れないですし、何よりも、作品を心待ちにしているファンの方々が公開前にネタバレを喰らうのが一番かわいそうです。本当にお気をつけください。
振り返ってみると、映画コンテを入手できるまたとない機会でもあったわけですが、自分宛でないメールの中身を見ないという当たり前の行動を取ったことは間違っていなかったと思っています。
担当者を罰しないで欲しい
この記事が担当者やその上司の方の目に止まるとも思えませんが、メールの誤送信は、誰でもあることだと思います。
どうか、担当者を罰して終わりにしないでください。今後、事故を起こさないために何ができるか、会社全体で考えて欲しいです。
例えば、私が使っているメールソフト「Becky!2」では、送信前に宛先を確認し、チェックを入れないと送信できないようにする機能があり、私はこれで救われたことが何度もあります(教授宛とか…)。
この機能がないメーラー、あるいはWebメールであっても、鉄道会社等で古くから行われている指差し確認を行うだけでも、ずいぶんと変わってくると思います。
メールアドレスを教える側は、「1回送ってみてもらう」というたったそれだけで伝え間違いはなくなるはずですので、是非取り入れてください。
そして、制作がんばってください。私もこの作品、好きですので。
自戒も込めてまとめ
気をつけよう、メールの誤送信。