連休を取って鳴門へ行ってみました。
静止画で撮ると渦がよく分からないですね。
疑問
ふと気になったのが、「大鳴門橋を架橋することによって渦潮が綺麗に巻かなくなる可能性はなかったのか」ということ。
渦潮は、潮の満ち引きによって起こっています。
狭い海峡では、外海が満潮に近づくと内海側に海水が流入します。逆に、外海が干潮に近づくと、内海側から海水が流出します。
橋を架けたぐらいでは、当然ながらこの現象が発生しなくなることはありませんが、きれいな渦ができなくなる、という可能性は考えられます。
上の写真を見ていただくと分かるとおり、2つの主塔が海中に建てられています。この構造物が潮の流れを阻害して、渦ができなくなる可能性はなかったのでしょうか。
近くに「大鳴門橋架橋記念館エディ」があるので展示を眺めていましたが、それらしいことが書かれていなかったので、記念館に直接質問してみました。
「多重基礎構造」が肝
答えは、主塔の脚部分にありました。
上の橋の写真を拡大して見ると、四角形の構造物がそのまま海中に建っている訳ではなく、円柱の脚が基礎としていくつも建てられ、その上に直方体の脚が乗っていることが分かります。これを「多重基礎構造」と呼ぶそうです。
円柱の基礎の間を潮流が通り抜けることで、渦に影響を与えないように設計されていました。
記念館の担当者さんは次のように説明しています。
鳴門海峡は「鳴門の渦潮」を展望する好適地として1931年に国名勝に指定されました。
大鳴門橋を建設する際に、その名勝を損なうことの無いように橋脚部には「多重基礎構造」を採用することで潮の流れが柱と柱の間を通り抜けるよう設計されております。
※「鳴門の渦潮」を発生させる潮流に影響を与えない
また、鳴門海峡の渦潮を世界遺産へ(http://naruto-uzushio.jp/)に詳しい資料があるとのことで、教えていただきました。「4章 大鳴門橋」で詳しく説明されています。
結論: 大鳴門橋は「鳴門の渦潮」に影響を与えない
大鳴門橋は、四国と淡路島・本州を結んで移動の利便性を高めるだけでなく、渦潮の景観を損なわないよう考慮された上で架けられていました。
鳴門へおでかけの際は、橋脚にも注目してみてください。
なお、渦潮はいつでも巻いている訳ではなく、時期や日によって最適な時間帯があります。ベストタイミングは、「渦の道」Webサイトや、各社観潮船のWebサイト(鳴門観光汽船・うずしお汽船・ジョイポート淡路島)でご確認ください。