作品を形にするということ

これは、ボカロ丼Advent Calendar 15日目の記事です。

VOCALOIDに限らずですが、曲をいくつか作って、ニコニコ動画に投稿していくと、即売会に出てみたくなりますよね。
即売会に出るには、何らかの方法で、作品を物理媒体の形にする必要があります。

CDショップで売られているメジャーの音楽CDは、10mmのプラスチックケースに入っていて、カラフルなCDと半光沢紙の歌詞カードがついています。
実は、綺麗にパッケージされたあのCDは、1ロット500枚 7万円ぐらいから作ることができます。
「でも、そんなに売れる見込みもないし、お金もないし…CD-R買ってきて家のプリンタとかで作れませんかね…」というそこのあなた。

結論から言うと、CDショップで売られている綺麗な包装を全て自分で作るのはやや無理があります。

が、おそらく正解はありません。
筆者がこれまで試行錯誤しつつたどり着いた結論としては、「メジャーCDのパッケージに拘らなくても、安価かつある程度見栄えのする”形”をつくることは可能」です。

今回は、即売会における作品の形についてと、なんとかその形を自分で作るためのアイデアのお話をします。

形ある音楽作品と即売会

簡単に言うと、「何を作ればいいのか」というお話です。

所謂ボカロPにしろバンドマンにしろ、現在活動されている方であれば、インターネットで何かしらの発信をしていると思います。特にボカロPであれば、このCDの中身はニコニコ動画で全曲聴けます、なんて方も多いわけです。そんな中で、「形ある音楽作品」を提供する即売会とは何なのでしょうか。

参加者によって考え方は様々ですが、概ね以下のような考え方がされているようです。

  • 「好きなPに会って話せるのが即売会である。」
    好きなPに会い、手渡しでCDを買う行為そのものに意味を見いだすパターン。CDは、持って帰ってiTunesに取り込むまでの入れ物でしかない場合が多い。筆者はどちらかというとこっち派。
  • 「好きなPのグッズを入手するのが即売会である。」
    そのPのグッズとしてCDを入手することに意味を見いだすパターン。中の音楽だけでなく、物理媒体そのものも大事にしてくれる…かもしれない。

形ある音楽作品として、上の2パターンをどちらも満たすように、「多少のお金を払おうと思える見た目をしていて、所有欲も満たせるような大きさ」のものを作ってみましょう。

形ある音楽作品を作るアイデア

8cmCD

筆者が最初に作ったのは8cmCDで、通販限定で販売したものです。厚みもあり、グッズとしての訴求力は高かったように思います。8cmCDマニアの方が買ってくれたりもしました。
裏事情として、定形封筒で普通郵便として送れるという良さもありました。

通販では、購入と同時に音源がダウンロードできるようになっていたので大きな問題はなかったのですが、対面の即売会に出てみると、「うちのプレーヤーで再生できるのか」という質問を受けるようになりました。
そこで、今では一般的な12cmのCDを使うことにしました。
(このような事情から、筆者は今も12cmのシングルを「マキシシングル」と呼び分けています。)

紙ケース

目を付けたのが紙ケースです。出来合いのCD用紙ケースを買ってきて、両面を印刷すれば、いい感じに仕上がります。インク代を考えても、おそらく一番安上がり。

毎回使っているのはこの製品。

  • まず、縦横の長さを測って、Illustrator等でカンバスを作成します。購入時期によって大きさが微妙に異なるので注意してください。
  • アートワークを配置します。
  • 印刷設定で、「用紙サイズ」を「プリンタドライバで定義」に設定し、左下「用紙設定」を押します。
  • ページ設定画面で、縁なし全面印刷をONに、用紙の種類を「マットフォトペーパー」に、用紙サイズを「2L」に設定します。
    ※Canonのプリンタは2018年モデルからMac用ドライバが提供されなくなったため、印刷の自由度が大きく下がりました。Windowsでの印刷がおすすめです。
  • Illustratorに戻り、「用紙の方向」欄の「自動回転」のチェックを外し、上下を回転させて印刷するように設定します。
    ※EPSON製のプリンタの場合は、ドライバでも同じ設定が行えます。
  • 背面給紙で印刷しましょう。用紙が汚れる場合は、プリンタドライバで「用紙こすれを改善する」オプションを設定すると改善できる場合があります。ご使用のプリンタの説明書をご覧ください。
  • 完成

並べてみると、それなりに見栄えがしてかつ可愛い商品になります。「持って帰る時に折れてしまう」という声があったので、最近はCD用のOPP袋に入れるようにしています。

なお、プラスチックのケースは、次のような理由もあり諦めました。

  • 10mmのケース(ジュエルケース)は、インクジェットプリンタでは中の印刷物の品質に限界がある。厚みがあるため、会場に持ち込める量が少なくなる。
  • 5mmのケース(スリムケース)は安っぽい。厚みがあるのに背表紙がない。印刷物があまり入らない。
  • DVD/ブルーレイのケース(トールケース)は大きい。イラストが縦長になるため制約が大きい(iTunesのアートワークやBOOTHのサムネイルは正方形があるため)。

マキシケース

でも、プラスチックの方がより見栄えがいいですよね。
スリムケースの薄さとサイズで、背表紙があるケースということで、マキシケースを選定しました。
厚さは7mmに増えますが、その分余裕があり、3つ折ぐらいであれば印刷物を入れることができます。

まず、ケースを入手します。参考までにリンクを貼っておきますが、割といい値段してしまいます。ヤフオク等で余り物の新品を売ってる人がいたりするので、探してみてください。

日本レコード協会に図面があるので、これを参考にIllustratorでガイドラインを引きます。もう一枚フラップを付ければ3つ折りになりますが、A3印刷ができるプリンタが必要になります。

アートワークや歌詞を配置し、背面トレイから印刷します。
用紙は、厚手の画用紙を使ってしまうと蓋が閉まらなくなってしまうので、普通紙よりもちょっと厚めの上質紙が良いでしょう。

背表紙部分の特殊な形をはさみで切る必要があり、少々面倒ですが、完成するとこんな感じになります。

まとめ

即売会において、何をつくるか、お金がない中でどう作るかという話をしてみました。
今回は、CD盤面の印刷といった話はしていませんが、CD盤面印刷対応のプリンタをお持ちであれば、CD-Rを買ってきて作ることもできます。

小ロットで安価に作れるのは、自宅制作の大きなメリットです。逆に、たくさん作る場合は、印刷だけ、CDのコピーだけ、など業者に頼む方が安い場合もあります。

「即売会に出展し、作品を世に問う」という当初の目的を見失わない程度に、いろいろ試して自分の作品の”形”を作ってみてはいかがでしょうか。

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